田舎の無名企業がそこそこの金額がするサービスを大手企業に全自動で売る方法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
からくり

「からくり」で探したら見つかった画像。適切な歯車を見つけたり作ったりするのは大変ですよね。

なんか情報商材のタイトルみたいになってしまいましたね。
正直ちょっと誇張のあるタイトルかもしれませんので予めご了承ください。

大手企業と取引したい!

ベンチャー、中小企業は思いますよね。僕もほんとにそれ思ってました。

特にeverevoをやる前の受託開発をやっていた時期。
大手企業と直取引するなんて夢のまた夢。降りてくる案件はいいところ孫受け案件でした。

でもeverevo・イベントクリエイトを始めてからは、名だたる大手企業や外資系企業、自治体とが直契約してくれるようになったんですよね。
サイタマのさらにアゲオにあるどこの馬の骨ともわからない企業に。
しかも、こちらから直接営業にも行かず、お客さんと合うことすらしていません

なんでこんな事になったのかなぁと、イベントクリエイトの状況を中心に振り返ってみたいと思います。

実績 is KING

イベントクリエイトをリリースしたあと、もちろんそのサービスの実績はゼロ。
表に出すような事例はありませんでした。

リリースしてしばらくは、実績も何も「とにかく誰かに使ってほしい」その思いであちこち動いていたんですよね。

そうやって動いていたところ、友人の某大手文具メーカーの方(・・そう、スタートアップ業界の方にはおなじみ。今やビジネス書ベストセラーを連発してるあの方ですw)が、「これ、ちょうど社内で課題になっているところだ。担当者をつなぐよ」となりました。

数カ月後に無事導入の運びとなったわけですが、ここで大手企業の実績が一つできたんですよね。

この実績ができたおかげで、あちこちで非常に話がしやすくなりました。

「実績って大事なんや!」と気づき始めたのがこのタイミングです(遅い)。

そして、同時期にはあちこちの「ピッチイベント」に出て、イベントクリエイトの事業プレゼンをしていました。(ピッチイベントとは・・)

この記事でも書いたように、ピッチイベントに出ても寄ってくるのは金融機関ばかり。しかしながら、そんな中で「自治体関係者」との繋がりができていきました。

「実績が大事なのかもしれないなぁ」と思っていた僕は、そのツテで営業しに行きました。埼玉県庁に。「タダでいいから使ってくれ」と。

そしたら、使ってくれたんですよね。しかも定期的に。
(※その後、有償でも使ってもらってます。)

「サイタマのベンチャー応援するのが僕らの仕事だから、なんとかするよ!」って言ってもらえました。男気・女気にあふれる担当の方と巡り会えたのは本当にラッキーでした。
(※ちなみに担当の方には「このようなイベントで知り合って、僕らに営業に来たのは始めてですよ」と言われました。意外!)

社歴があり、多くの人に認知されている大手企業、自治体。
この2つの実績をウェブサイトに掲載したところ、引き合いの質が変わり始めました。

  • 自治体関連のイベントを請け負っている会社からの引き合い
  • 大使館からの引き合い
  • 独立行政法人からの引き合い
  • 労働組合からの引き合い
  • 外資系コスメ大手企業からの引き合い
  • 全国展開する生花店からの引き合い
  • 世界的に展開するプラント建設企業からの引き合い
  • 日本を代表する建設会社からの引き合い
  • 日本を代表する広告代理店からの引き合い

などなど

仮にこちらから営業に行ったとしても門前払いされるような企業からの引き合いが発生していきました。

「実績って”超”大事なんや!」と気づき始めたのがこのあたりです(本当に遅い)。

営業畑・マーケティング畑の人には当たり前かもしれないのですが、事業を立ち上げるときに何が何でも最初に「良い実績」を作るというのがこれほど大事かと。

あと、次に続くお客さんは、伝えている実績に左右されるということがわかってきました。

イベントクリエイトのコンセプトは「わたしにもできる」だったんですよね。
だから、よくあるITに明るい企業を対象にしていなかったんです。

最初に事例として出せるようになった老舗の企業や自治体は、良くも悪くもITサービスとはちょっと遠い存在(当時は)。

なので、ちょっと最新のITサービスから縁遠いような企業や団体の担当者に「あ、このサービスは私達も使えるのかもしれない」と思っていただけたのではないかなと思っています。

結果、ITクラウドサービスには珍しい、重厚長大な企業や団体がイベントクリエイトの実績として名を連ねていくことになりました。

値決めは経営

値決めは経営」は京セラの稲森さんのセリフですが、まさにそうだなぁと。
(稲森さんの仰る意味とはちょっと違いますが)

イベントクリエイトの値段、月に2.5万円で開始しました。

この値段に決めた経緯は

月額5万円ぐらいなら部門決裁ができる

という情報を、最初にヒアリングした会社に聞いたからです。

なので当初は5万円/月にしようと思っていたのですが、すでに展開されている競合サービスの価格が2.5万円/月だということがわかり、日和って2.5万円にしました。※今振り返ると、この値下げのやり方はあまり良いやり方ではないなぁと思っています。競合と同じ土俵に上がることになるので。。

そして、リリース後この記事でも書いたように、まぁ売れないわけですよね。

売れないときに何を最初に考えるかというと

「価格が高すぎるから」

って思っちゃうんですよね。まず最初に

※「売れない原因は、適切な課題を持っている人に対し、適切なベネフィットを感じてもらえる訴求ができていないから」ということがリリース当初・・というかリリースして2年以上わかっていませんでした。

社内でも「値段を下げるべきだ」という議論が起こるわけです。
そして「僕もそうなのかもしれないな・・」と思いました。

ただ、何かの本で読んだ「値下げはいつでもできる。むしろ値上げをしろ」という、値付けに対する考え方が僕の頭の中にあり、値下げをすることはやりませんでした。

値下げをする議論の根拠は

「競合のサービスよりは機能が少ないから値段を下げるべき」

でした。確かに競合サービスよりも機能が少ない。

しかしながらイベントクリエイトは機能の多さをそもそものコンセプトにしていません

  • ITが苦手な、女性でも、すぐに使うことができ、利便性を享受できること

がコンセプト。

機能数以外の部分でお客さんのベネフィットに大きく貢献できているサービスだからこの値段で良い、と考えていました。

競争の軸がそもそも異なっているのです。

結局値下げをせず、マーケティングを試行錯誤する中、少しずつ売れていくようになりました。その時良いお客さんからの引き合いが多いなということに気付きました。

これは一体なぜなのか。
結論としては「値付けが良かった」が理由だったのです。

2.5万/月の金額。実はIT系クラウドサービスではちょっと高めのスタート金額だと思います。(※あくまでもスタート金額での比較です)

この金額は

  •  大手企業は部・課レベルで決済できる金額
  •  中小企業は社長決済でできる金額

だったのかなと。

決して安くない金額ではありますので、皆さんきちんとサービスを検証されていました
検証した上で、納得して契約していただきました。

そもそもこのサービスに月額2.5万円の付加価値を感じない方は、このサービスを検証の選択肢にいれません

「面倒だけども、人手でやったほうが安上がり」という考えの方が自然と除外された状況になったのです。

例えば月額3000円で展開すると、提供しているサービス内容は変わらないのに、非常に手間のかかるお客様ばかりになる可能性があります。

少人数で事業展開していた私達にとって、確実にサポートコストの上がるその値付けはできない判断でした。

月額2.5万/月に付加価値を感じていただくお客さんは、時間の価値を高く認識している人になります。

  • 自分の時間を月間10時間削減できたらより多くの収益をあげられる。
  • チームの時間を月間30時間削減できたら、残業代を削減できる

契約の時点でそこまで具体的に考えていらっしゃるかは定かではありませんが、そのような意識を持てるお客様になります。

適切な値付けが、自分たちの理想とするお客様のスクリーニングとなっていたのですよね。

これは非常に良い気づきでした。

なぜ非対面で販売できたのか

最終的に、イベントクリエイトは大手企業にも非対面で販売していくことができるようになりました。

これは「値付け」と「コンセプト」「実績」が非常に重要な要素となっています。

「値付け」が適切なため、本気度の高い限られたお客様がサービスの検証に入ります。

1社1社の検証プロセスをメールや電話できちんとサポートすることができたので、コミュニケーションをすすめる中で担当者ベースで信頼関係が作られていきます。

また、「わたしでも使える」というコンセプトでサービス設計をしていますので、サービスの学習コストが異様に低く、すぐに「これは使えそうだ」と判断していただけます。
(多くの法人向けITサービスは、検証すること自体がストレスになるのではないかなと。)

そして、最後に「実績」です。
実績が「とはいえ、この会社大丈夫なのか?」の懸念を払拭します

あとは社内稟議を通さなければならない各種対応をすべて行います。
※月額3000円のサービスだと、この対応をするだけで赤字になっちゃいますよね。

さらにPマークを取得したことで、大手企業の社内導入審査を通すことがかなり楽になりました。(Pマークの導入については最初は超懐疑的でしたけどw)

このようなプロセスを経て、大阪の企業も、福岡の企業も、愛知の企業も、全て非対面で販売することができるようになりました。

「ちょっと説明に来てください」

これ、ありがちですよね。「複数のサービスを検討しているので説明に来てください」という方。

最初はもう、行ってました。「売れるかもしれない!」とワクワクしながら。

そして、だんだんわかってきました。「コイツラには売れない!」と。
(あえてコイツラと言わせていただきます)

呼びつける大手企業の方の多くは本気じゃないです。

この方々のために、往復3時間の電車移動をし、見積書を作り、提案書を作り、プレゼンする。この時間の殆どは無駄でしかないなぁと思っています。

だから、途中から一切やめました。

イベントクリエイトは誰でもすぐに試用することができますし、試用した方にはすぐに資料を送っていますので、それだけで内容を深く理解することができます

なので、本気で検討している人は必ず試用するし、質問メールも具体的なものが帰ってきます。

大手企業には直接面談しなければ売れないのかもしれない、と最初は思っていたのですが、面談しなくても売れるということがわかってからは、「ちょっと説明に来てください」に対して

「まずは試用してみてください」

と返すようになりました。

それで、本気度の高い方はきちんと試用・検証してくれますし、そのまま非対面で導入に至ります。
(イベントの運用フローは状況によって異なるので、きちんとシミュレーションをしていた上で導入していただく必要があります。本番運用でいきなり「思ってたんと違う!」となって欲しくないので。なので、導入前に試用がマストなんですよね)

だいたい「人の時間単価が安い」と考えているから人を簡単に呼びつけることができるのではないかなと。そもそもそういう方はサービスの理想的なお客様ではないのかなと思っています。

それでも「説明しに来てくださいよー」と仰る方もいらっしゃるのですが、

「オンラインで販売するサービスなんです。大阪の大手企業もこのスタイルで安心してご導入いただいております」
「必要でしたらスカイプ等のオンラインミーティングは可能です」

という対応で問題なく対応できました。

こんな殿様商売みたいなやり方で売れるの?とお感じかもしれませんが、きちんと売れます。

僕たちのサービスが助けてあげられることと、お客さんが助けてほしいことがきちんとマッチしているからです。

逆にここにミスマッチが生じると、お互いあまり良い関係性になりませんよね。

そんなこんなで

最終的にイベントクリエイトは、非対面で大手企業にも導入いただけるサービスにすることができました。

営業から販売、運用まで完全自動化のSaaSサービスになったら最高!

というイメージで作り上げましたが、かなり近い状況までは持ってこれたのではないかと思います。

それにしても最初の実績づくりの部分で助けていただいた方々には頭が上がりません
特に自治体の実績が最初期に作れたのは非常に重要でした。

こんなラッキーが得られたのは、僕らが「サイタマ」で起業してたからにほかなりません

サイタマの創業を支援しようとする文脈にきちんと乗れたことと、男気・女気のある自治体の担当者がたまたまいらっしゃったこと。

これって、地方の起業活性化の重要なケースなんじゃないかなと書いてて思いました。

全国の自治体や金融機関も「起業だ!」「ベンチャーだ!」ってなっているかと思います。

お金の支援とか経営支援とかいろいろやってると思うんだけど、まずは自分たちがベンチャーのサービス使ってあげて、実績づくりに協力してあげたらすごく良いと思います。

支援側はすんごく小さいコストしかかからない割に、ベンチャーとってはめちゃめちゃありがたいですよね。良い実績ができると。

商売は信用構築のプロセスだよなぁと改めて感じました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

いま、力になれます

芥川はいま、多分こんなところで力になれます。


・開発リソースが足りてない!
・広報マーケリソースが足りてない!
・新規事業、スタートアップの立ち上げメンバー探してる!
・人材採用に困ってる
・事業計画書のアドバイスがほしい!
・ウェブマーケのやり方がわからん!
・見込み客の獲得を増やしたい!
・マネタイズの方法がわからん!
・自社のこのリソース、お金にできない?


このあたりは、僕自身が知見があるところです。
また仮に僕の力が足りなくても、僕の友人が寄ってたかって助けてくれる領域です。
お気軽に下記フォーム、またはfacebookのメッセージからお声がけください。
(上記以外でも力になれるかもしれません。)

SNSでもご購読できます。